こんにちは理学療法士の塚本です。前回終末期医療のリハについて触れさせていただきましたが、
がん治療を支えるリハビリについてお伝えしたいと思います。
がん治療は患者様にとって身体的にも精神的にも負担が大きいものです。その負担を少しでも軽減し、治療成績を向上させるために、近年注目されているのが 「予防的リハビリテーション」 です。
リハビリテーションというと、手術後や治療後の回復をサポートするものというイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし、がん患者様における 「事前の備え」 としてのリハビリの重要性が、近年の研究で明らかになっています。
筋肉量と身体機能――治療成績への影響
がん患者様にとって、筋肉量や身体機能は治療成績に大きな影響を与える要因の一つです。
たとえば、以下のようなケースが報告されています：
- 筋力や持久力が低い患者様ほど、手術後に肺炎などの合併症を起こしやすい。
- 十分な筋肉量を維持することで、治療の副作用を乗り越えやすくなる。
このため、がんと診断された段階で筋肉量や身体機能を評価し、適切なリハビリを開始することが重要です。
予防的リハビリテーションの実践例
予防的リハビリテーションの一環として行われる主な介入には、以下のようなものがあります：
- 呼吸機能訓練：術後の肺合併症を防ぐため、手術前から呼吸筋を強化する練習や排痰訓練を行います。
- 筋力トレーニング：体力を維持し、治療の負担を軽減するために、個々の状態に合わせたトレーニングを計画します。
- 持久力訓練：治療に伴う疲労感を軽減し、回復力を高める効果が期待されます。
これらのリハビリテーションは、がん治療ガイドラインでも推奨されており、多くの患者様にとって治療の一部として重要な役割を果たしています。
終末期医療とのつながり
がんの予防的リハビリテーションは、治療のためだけではありません。ターミナル期においても、患者様のQOL（生活の質）を向上させるためのリハビリは重要です。たとえば、痛みの軽減や快適な呼吸をサポートするケアは、患者様の最期の時間をより穏やかなものにします。
オルシア訪問看護ステーションでは、ターミナル期の利用者様も積極的にお受けしております。
がんの予防的リハビリからターミナル期のケアまで、患者様一人ひとりのニーズを慎重に検討しながら対応させていただいております。
医療者同士の連携が鍵
がん治療の現場では、多職種の連携が欠かせません。医師や看護師、リハビリ職が力を合わせることで、患者様にとって最善のケアを提供することが可能です。
リハビリテーションは治療を「補完するもの」として見られがちですが、患者様の体力や意欲を支える重要な要素でもあります。予防的な介入がもたらす効果を、医療チーム全体で共有し、患者様の治療をより良いものにしていけたらと願っています。
最後に
日々がん治療に携わる皆様にとっても、患者様の身体的・精神的な負担と向き合うことは決して簡単ではありません。その中で、リハビリテーションが果たす役割について改めて考えることで、患者様の治療を支える一助になれば幸いです。
オルシア訪問看護ステーションでは、リハビリを含めた包括的なケアを提供しております。お困りのことがございましたら、ぜひご相談ください。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
